久しぶりに爆笑 5分は止まらなかった映画「ダメジン」

映画「ダメジン」2006年公開の三木聡監督作。
撮影は2002年だそう。
公開が危ぶまれた(当初そのレベル)のおかしな映画。
その後続いていく「亀は意外と速く泳ぐ」「図鑑に載ってない虫」「イン・ザ・プール」「インスタント沼」の出発点にあるであろう、変な映画。

キャスティングされてる俳優さんたちは、2002年当時どういうポジションだったのか。10年を経た今だと三木さんの演出作品ではおなじみで、重要な方々ばかりだが、吉岡秀隆くんがそうとう重要でない役で出てて、セリフもどうでもいいようなことをしゃべっているのが気になる。
一応ヒロインの市川実日子が二十歳頃だと思うが、細くて非常に可愛い。
が、しかし。
そのヒロインはシンナー(トルエン)吸引の常習でほぼ中毒者という設定。
ティシュに浸したトルエン(つまりシンナー)を鼻に詰め、ヤクザの篠井英介冷やし中華を頭からぶっかけられたりしながら、場面が変わり登場するたびに、袖なしワンポースを着替えて出てきたり。実にィイ〜ネ!

ラストの方でヒロインは「現実にトブため」に、マッドサイエンティストが残したらしいロケットに、燃料としてトルエンを注ぐ。
「そんなんで飛ぶのかよ?」と揶揄された時、返したセリフが、
トルエンだから、トブんじゃん」


シンナーに対して町工場の社長、岩松了の部下の山崎一はシャブ中である。
途中でプロデューサーが降りて、後任探しに難儀したらしいのもわかる気がする。
どうでもいい大筋(この映画では佐藤隆太他プー太郎三人がインド移住計画を思いついて資金を得るにはどうするか、ってことをほぼ考えもせず行動だけする。という筋)があるにはあるが、俳優それぞれのキャラクターが細かく作りこまれて、いちいち細かい。
結果的に筋とは無関係のギャグのような遊びにおおきくエネルギーがぶち込まれている。

岩松了笹野高史の関係とか、ヤクザなんだかなんだかよくわからないキーパーソンの篠井英介とか。
篠井英介ってどんな役者なのかよくわからなかったのだが、このササキって役はよかった。たぶん小物と大物の間のワルモノとか、ヤクザの小頭みたいないじめキャラは光るし大物の悪にやられる役もハマると思う。基本的に悪相であるのを活かすとイイんじゃないかと思うんだがね。
穏やかなんだけど目が怖い系の人。岸部一徳のようなタイプがやる悪人がハマるね。おそらく。


で、笑いが五分止まらなかったシーン。シチュエーションを書いて説明しても面白く無いし、わからんだろう。

この「ダメジン」って映画は細くて若い市川実日子を見るための映画って他に、バカバカしい見所がいくつかあるんだが、おすすめの「笹野高史の流血シーン」は映画の冒頭ちょい過ぎにでてきて、これが映画が進行していくにつれ筋にはまったく関係ないエピソードとわかり、思い出しても笑ってしまう。そんな仕掛けになっている。
つまりこんなギャグ(みたいな落ちがない)をやりたかっただけなんじゃないかと思うし、そういうのが成功したのも滑ったのもみっしりと詰まってる映画である。見てると面白いさ。
ただ、終盤無理やりのように強盗事件をおこしたりして、終わるに終われない話なんでラストは実際脱力する。
笑っちゃうけど?????という映画。すっきりするわけじゃありません。

もし、近所のレンタルDVDで在庫があったら、「あ〜あるんだな。」と認識してほしい作品の一つ。
鑑賞しろとまではいわない。

※窓を開ける「ガンジー笹野高史
突如頭から流血する。
しつこく流血し、映画的にも意味ないだろうなぁ、ってほどの大量の流血!
これ自体が大笑い。